第4章 五つ子の公園デビュー
「リコさん、火神くんって子ども好きなんですか?」
「んーー……嫌いではないと思うけど、その道に進んでるから、好きなんじゃないかしら」
私はリコさんと砂場の近くのベンチに座りながら話していた。
「ウチの幼稚園に日向くんたちもいるから、火神くんも今のところ出来てるって感じだけど」
高校時代、ずっとバスケしか興味のなかったと思っていた私にとって火神くんが保育士になるとは想像もしていなかった。
私の先には火神くんに遊んでもらって楽しそうな五つ子ちゃんたちがいる。
「でも、リコさんたちがいて良かったです」
「えっ?」
「あの子たちを育てるのに、征くんと2人だと不安があったんです。ちゃんと育ててあげられるのかって」
「美奈子ちゃん……大丈夫よ!!」
リコさんは私の背中を叩くと笑顔でいった。
「あの子たちもすぐに幼稚園に通うようになるし。あっ!!その時はウチの幼稚園よ。火神くんに五つ子担当になってもらうから!!」
「はい!!じゃあ、火神くんにお願いしちゃいますね!!」
私は立ち上がり、五つ子ちゃんの元へ行き一緒に遊び始めた。
「さあ…火神君、あの子たちが来る前にビシバシ行くわよ!!」
リコさんは笑みを浮かべ砂場を眺めていた。
火神くんは私とリコさんがそんな話をしていた事を知らされず、次の日から鍛えあげられ、この事を知ったのは五つ子ちゃんたちが入園した時だった。