第13章 誕生日
12月20日
今日は私にとっても、彼にとっても大切で特別な日。
始発の新幹線に乗り、あっという間に変わっていく景色を眺めながら私はある場所に向かっていた。
着いたのは京都。
今頃、直前にと控えているW・Cに向けて練習中だろうか。
そんな中誠凛の…ライバル校である私が行くのはどうかと思われてしまうかも知れない。
しかし今日は偵察に来た訳ではない。
ただ彼の、征くんの誕生日を祝いに来ただけ。
『すまない…その日は練習があるんだ』
会えないかも知れない…
そんな事はわかっていた。
でもやっぱり誕生日だから直接会ってプレゼントを渡したかった。
偶然にも休日だから無理を言って部活を休ませて京都へ来たのだ。
「あれ…おかしいな…」
何度か征くんと行った事はあるはずなのに事前に調べて来た地図とは別の場所に私はいた。
東京とはまた違う景色に私は戸惑いを覚えた。
「あ、お前…赤司の」
駅でウロウロ、オロオロとしていると、聞き覚えのある声がし振り向けばそこには
「あなたは、黛さん」
嘗ての征くんのチームメイトの黛さんがいた。
「こんな所で何やってんだ?アンタ……まさか迷子か?」
「うっ………」
「マジかよ……」
黛さんに図星を指され何も返せなかった。
「はぁ……仕方ねえから送ってやる。どーせ赤司の所だろ」
黛さんがそう言うと、駅の中をスイスイと進んでいく。
「あっ……待って下さい」
見失わないように黛さんについていけばあっという間に洛山高校に着いてしまった。
「あの、ありがとうございました」
「別に」
ボールの音がする体育館の前まで黛さんに送ってもらうが、ちゃんとお礼をする前に黛さんは姿を消してしまった。
「今度また、お礼しないと…」