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悪色に染まる

第1章 出会い


☆☆☆☆☆☆☆☆

「…お前も来るか?」

月の光に照らされて微笑む男。私は首を振る。

「………そうか。」

少しばかり寂しそうだと思うのは気のせいだろうか。

「だが、覚えておけ。お前の居場所はもうあそこにはない。あいつがいなくなった今木の葉は終わる。再び俺が潰す。」

……………………。

「………そのときまで決めておくがいい。俺か木の葉か。」

私は頷かなかった。だが、男は私の方に背を向け去っていった。

☆☆☆☆☆☆☆

「おはようユキ。」

「………おはよう。お母さん」

眠い目を擦りながら布団から出ると、黒髪の女の人、ミコトさんが微笑むのを見る。

「今日の朝ごはんは鮭よ。あなた好きでしょう?早く準備してきてね。」

私の名前はうちはユキ。と言ってもうちはの子供ではない。私が生まれてすぐ両親が死に、私は唯一の親戚であるうちはの家に引き取られたのだ。私は今一歳。一年間お世話になっているのでそろそろ独り立ちをしたいなとか考えている。

「おはようユキ。よく眠れたかい?」

食卓に行くと笑顔で迎えてくれたのはイタチ兄さん。この家の長男。ただでさえ天才的な血筋なのにこの人只者じゃない。うちはの一族のなかでも飛び抜け天才。だけど私にとってはいいお兄さん。

「おはようイタチにぃ。あのね、いい夢見た!」

「どんな夢?」

こっちはサスケにぃ。この家の次男。私とたくさん遊んでくれる。

「んと………月が綺麗だった夢!」

よかったねと頭をぽんとしてくれるイタチにぃのこの手が大好き。

「はいはい!はやく食べてしまいなさい。」

私はいっぱいご飯を頬張った。私は人より成長が早いらしく、同じ歳の子よりも発育がいい。歯も生えてきているし、言葉もある程度喋れる。

「イタチ、今日お母さん任務だから、2人頼んだわよ。お兄ちゃんが任務に行く時はサスケ。ユキの面倒よろしくね。」

慌ただしく準備するお母さん。そう言えばお父さんがいない。最近お父さん見ないなとふと思う。忙しいようだ。

「お母さん。私が洗い物やっとくよ!」

「あー……お願いね。」

もちろんこれは私に言ったわけじゃない。危なくないように見といてねとイタチにぃとサスケにぃに言ったのだ。

「分かってるよ。いってらっしゃい」

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