第2章 輝いてみえて
「はぁ。」
ガコンッと缶を強く投げた。
一人になるとため息が止まらなかった。
なんでこんなにイライラしているのだろうか、モヤモヤしているのだろうか。
この気持ちの正体がわからないのでますますモヤモヤする。
俯いたままギュッとワイシャツの襟を握ると同時に肩をぽんっとたたかれた。
急のことだったから肩がビクッとゆれた。
「ご、ごめんね!驚かせちゃった?」
あぁ、この心地よい声を僕は知っている。
ゆっくり振り向くとそこにはふわっと微笑んださんがいた。
「電話長くなっちゃってごめんね。待たしちゃったよね?」
しゅん、という効果音が聞こえるかのように眉をハの字に曲げて俯いてしまった。
そのしぐさがかわいくて僕の頬は自然に緩んだ。
そして、あとで考えればいいと思い、先程のモヤモヤを見て見ぬ振りをした。