第1章 エントリーNo.1 氷室辰也
風呂から出てバスローブに着替えた俺を待つ。
早く来いと言わんばかりに彼女は目を輝かせながらマットレスを叩いて俺を待ち構えている。
「待ってろ。今行くから」
まるで子犬のようなその表情と仕草に俺は思わず顔が緩んでしまう。そしての待つベッドへ腰掛けた。は奥へと身体を移動させ、俺が入るスペースを作ってくれ俺も横になる。
「…よっこいせと」
少し狭いが、俺はとお互いの体温を感じたくて、もっと身体を寄せて密着させる。
俺がずんずんと近づいていくたび彼女の頬は赤らんでいく。
…そんな顔を見せられて愛しいと思わない方がおかしい。
俺はまた微笑みながら愛しくて堪らない彼女を見つめる。
「ふふ、お待たせ、」
恥ずかしがっているのだろうか黙って俺を見つめるだけの。
俺は微笑みを彼女に向け、指通りの良い髪を撫でるとはへへっと照れ笑いをする。
頭を撫でられるのが好きだからね、は…。
「…、可愛い…」
俺がそう言うと彼女は顔をくしゃくしゃにさせる。
本当に愛おしい…。それしか言う事がないな。
彼女への愛情を再確認していると彼女は俺に限界まで近付き、目を俯きながら今にも消えてしまいそうな小さな声でお願いをしてきた。
「…ん、わかった。いいよ、お安い御用だ」
普段滅多に言わないからのお願い。
眠るまでずっと頭を撫でて欲しいと。
恥ずかしがりながらお願いをされた俺は嬉しくて堪らなくてついを強く抱きしめる。
そして彼女のリクエスト通り頭を撫でながら。
驚いて声を漏らすの耳元に俺は囁いた。
「…愛してるよ、。…これからもずっと一緒にいようね」
続けても俺を抱きしめ返し、愛の言葉を返してくれた。
本当に幸せだ。幸せ過ぎて怖いくらいに。
の小さな身体をさらに強く抱きしめ、幸せを噛み締めていると彼女の方が先に寝息を立てて眠っていた。
「…ふふ、寝ちゃったか」
俺は彼女の前髪を掻き分け額にキスをしリップ音を立て、スヤスヤと眠るを見つめ、起こさないように小さい声で囁いた。
「おやすみ、my honey」