第14章 【第十三章】黄瀬の海
唖然とした顔で、剣が飛んできた方を見ると、火神が自分の剣を肩に背負い、ニカッと笑顔をこぼす。
「黒子は、黄瀬が剣を弾くのを信じてた。
そんで、弾いた剣が俺に飛んでくることも予測していたんだ。
当てることも出来たんだぜ。でも、しなかった。黒子の目がそれを止めたんだ。黒子に感謝しろよ、オマエ。
ハハッ!ま、俺もはじめてだったぜ。剣を剣で撃つなんてな。」
黄瀬はまだ呆然としていて、甲板に倒れている黒子を見た。
「黒子っち。」
「コイツは、まだオマエのこと信じてんだよ。いや、お前らのことな。」
火神はゆっくり2人に近づき、倒れている黒子の腕を持ち上げる。
すると、黒子がさっきよりも大量の血を流しフラフラしながら、拗ねていた。
「ボクは、誠凛の皆さんも信じています。もちろん、火神くんのことも。
でも……。
黄瀬くん。美桜を救うため、どうしても力を貸して欲しいんです。お願いです。」
「オマエ、ダウンするか、説得するかどっちかにしろよ。」
火神が呆れ口調で言い、その黒子の腕を肩に回した。
「降参すんだろ?」
振り返ると、黄瀬は持っていた剣を床に落とし、さっき怪我をした頬を乱暴に擦った。
「…分かったッスよ。コーサンするッス。」
ニヘラと笑った後、手をブラブラさせた。