第14章 【第十三章】黄瀬の海
黄瀬は、過ぎ去ってしまったあの日の出来事に、眉を寄せぎゅっと目を閉じた。
そして次の瞬間、鋭い眼差しを向けた。
「平民出の俺に、美桜っち姫は頭を下げたんスよ。
俺たち領主に、国を守ってくれって。王族は、そんな俺たちを支えるからって…。
もう…なんか一発で、自分の忠誠も敬愛も持ってかれたんス。
なのに…
…王が倒れたあの日…。助けられなかった自分に一番腹が立つっ!
彼女から離れることで、守れると思っていたのに……っ!!
今度こそ、絶対負けられないっ!俺は、美桜っちの為、誠凛に勝つっ!!!」
黄瀬は、グリップをギリッと握り、火神へ走り込み、攻撃を仕掛ける。
「それっ!俺の攻撃っ!!」
火神が目を見開き、剣を受け止める。
ギィーーーンッ!!
咄嗟に剣を剣で受け、ギリギリッと刃が鳴る。
「…キミの攻撃パターンは、全部覚えたっ。もう、勝ち目はないっス、諦めてっ!!」
火神は、至近距離で不適に笑う黄瀬に、頭が冷えたと同時に、胸が熱くなる。
「フフ…ハハハハッ!!!いいじゃねぇかっ!!勝ってやるっ!お前を倒してやるっ!!!」
自分の全てをさらけ出し、お互いの思いの強さが、攻撃の強さに比例されていく。
強大な力と力のぶつかり合いに、両軍の船では、その圧倒的な戦いに、ただ見守ることしか出来ない。
「…すげぇ…な…。」
日向がぽつりと洩らす本音。
戦いの神に愛された人間の戦闘は、自分達の戦闘と次元が違う。
圧倒的な雰囲気に、すべての時が、2人を包んでいるのが分かる。