第12章 【第十一章】キセキの領主 =黄瀬=(激戦の海)
東の海から、日が昇ってくる。
そして、甲板に上がっている戦士たちの顔が、朝日に照らされていく。
両国の艦隊の帆が、海常は青い帆に、誠凛は白と赤の帆に代えられる。
すべての艦隊の帆が代わったところで、開戦を合図する大砲が、両国の船から一弾、空に向かって放たれた。
バァーーーーーン
バァーーーーーン
「「「「「ウォーーーーーー!!!!!!」」」」」
「「「「「オォーーーーーー!!!!!!」」」」」
両国の艦隊が一斉に動き出す。
海常の布陣は、笠松が率いる軍艦が、司令艦として前に出る。
左右に森山、小堀が広がり、後方に早川が控えた。
黄瀬の艦は、早川のさらに後ろに不気味に停止している。
誠凛の布陣は、火神の艦隊が前に出て、後方に伊月・日向・水戸部・小金井の軍が横一列に並んでいる。
先に動いたのは、誠凛軍。
火神の乗る船が、海常の船に接近。
大砲を打って、海常を攻撃し始める。
すると海常の船から、炎が上がって爆発する。
甲板の上はパニックに陥った。
「おい、どうしたっ?!」
指揮をしている笠松キャプテンが、爆発した艦隊に注意を向ける。
しかしその隙に、火神が敵艦に乗り込み
「ウォーーーーーーーーー!!!!!」
全神経を剣に集中させ、火神の背丈ほどの剣、レーンアップソードを船に突き刺す。
ガガッアーーーーーーーーン
すると突然、突き刺した床が一気に崩れ、海常の艦隊が一隻大破した。
「ナニッ?!」
笠松キャプテンの驚愕の声が響く。
そして、その攻撃に動揺した隙に、次々に海常の艦隊がやられていく。
次々に混乱していく海常の艦隊の間を、縫うように走っていく影があった。
しかし、その影には誰も気がつかない。
「…………黄瀬ぇーーーー!!!お返ししてこいっ!!!」
すると急に、誠凛の艦隊が一隻、何の異変も察知出来ないまま、爆発し沈んでいった。
「な、ナニッ!?」
日向の乗る戦艦の、すぐ横に控えていた艦隊が次々沈んでいく。