第9章 【第八章】悲痛の想い
『なんで私は、何にも出来ないんだろう…』
速度をあげて、桃井を乗せた馬は走る。
秀徳の領城まで、あと少し。
3日前
王都:城内
『!!!…美桜……?…』
桃井は、総一に鉄格子に押さえ付けられていたが、目の端で捉えた。
美桜は、投げ入れられていたナイフで乱暴に自分の髪の毛を切ったのだ。
綺麗な栗色の長い髪の毛。
『そんなに私に見られたくなかったかい?』
総一の汚い笑い声が響く。
そして、桃井の身体を、美桜がいる檻側に身体を反転させ、美桜に向かって叫んだ。
『この娘を助けたければ、その髪の毛を柵の外へ置くんだ。』
『美桜!駄目っ!私はどうなってもいいから、コイツの言葉にしたがわないいで!!』
檻の方を向かされたので、桃井は美桜の顔を、見ることが出来て良かった。
美桜は、見たこともないほど泣いて顔はぐちゃぐちゃだった。