第4章 【第三章】捕らえられた夜
帝光大国には有名な昔話がある。
その昔、王家に仕えていた錬金術士が謀反を起こし、捕らえられた。
『私は謀反などしていない。』
捕らえられた錬金術士は、涙をながら時の王に訴えた。
しかし、時の王は聞く耳持たずに、死刑を命じたのだった。
錬金術士を幽閉した夜、この檻から微かな金属音が聴こえ、次の朝。
錬金術士は、死んでいた。
昨日まではただの檻だったのに、翌朝、鉄格子には鋼の蔦が絡まり、その蔦は檻を開ける戸にまで絡まっている。
入ることも出ることも出来ない檻と化した密室で、嘲笑う顔で死んでいる錬金術士。
その日、時の王も死んだ。
首に鋼の蔦を絡ませて。
結局、錬金術士の“謀反”に成功した…
東棟天辺の檻。