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~囚われの姫君~【中世☆黒子のバスケ】

第4章 【第三章】捕らえられた夜


美桜は、自分からゆっくり檻の中に入っていった。


ギーィーーーーー……

ガシャンッ

ガシャンッ

ガシャンッ



檻の戸は何重にもロックされていく。

美桜は入ってきた戸を振り返り、叔父を見ると、叔父は口角を上げ薄く笑っていた。



「今日から姫の部屋だ。…大丈夫、イイ子にしていれば“今は”殺さないよ。

第一王位継承者。」




高々と話す叔父を、美桜はじっと見つめていた。
叔父は鉄格子の向こうにいる美桜の瞳を見て、激しく苛立ち舌打ちした。
「…行くぞ。」と、兵士に告げ、従えていた数人の兵士と共に、東棟の檻から去って行った。


美桜の瞳、彼女の目には恐怖や絶望など宿っていなかった。


“王家の誇り”


今まで王女として育てられた誇りが、美桜を強くし、確固たる意思を保っていた。



だが、



1人になった。



領地に帰還した5人も。

唯一、何でも話せる女友達も。

ずっと私を影から守ってくれた人も。



誰もいない。



叔父が去って、しばらくしてから美桜は詰めていた息を吐き、瞬きを繰り返したが、突然実感する現実に、カタカタと指先が震え出してしまう。

美桜は震えを止めようと両手を組んだが止まらない。
潤む瞳を必死に堪え、深く息を吸ったのだった。




美桜の捕らえられた檻、そこは、美桜の背丈程の高さで造られた石の天井、それを支える鋼の蔦が絡まった錆びた鉄格子、窓は鉄格子の向こうに大きな窓が1つ。

窓から月は、見えない。

灯りのない檻。




“東棟天辺の檻”



別名…錬金術士の墓場




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