第3章 【第二章】(隙間)領主の想い
【領主たちの最期の会談】
赤司は、玉座の間に通される前に、各領主たちの部屋にメッセージを隠した。
《話がある、隠し部屋へ来てくれ。》
玉座の間ではやはり、皆が領地に帰還すると申し出た。
昨晩、それぞれが命を狙われ、姫の命を脅かすと警告されたのだろう。
赤司は、自分の部屋にあった隠し部屋へゆっくり向かった。
「ねぇー、なぁんでこんなとこに呼んだのぉー。」
紫原が、埃を被ったの衣装箱の上に腰掛け、お菓子の包みに手を突っ込んでいる。
「何か埃っぽいっスね。」
黄瀬は壁際に立ち、小さい埃に目をしかめた。
「………」
青峰は、天窓に目を向けていた。
「…何を話すのだよ。…赤司。」
緑間は、赤司が階段から上がってきたことに気付き、眼鏡を上げながら視線を送る。
「紫原、黄瀬、緑間、青峰。よく来てくれた。……ここに黒子がいないのが残念だが…。」
赤司は領主を見据えた。
「本題を言おう。この城は、完全にアイツの手に落ちている。」
「「「「 ! 」」」」
各領主たちは、驚きを隠しきれず目を見開く。
「しかし、今、俺たちが動けば、確実に美桜は殺される。例え、この中の誰かが美桜を連れて逃げたとしても、領地をアイツに奪われ、アイツの力が増すだけだ。……今は動くな。」
「「「「………」」」」
この場にいた全員が昨晩一度は考えた“美桜をさらって領地に逃げ込む”作戦を言い当てられて、気まずくて黙る。
そして、昨晩の事件を思い出し、血の気が引く…。
『『『『アイツならヤりかねない。』』』』
「…アイツはその気になれば、俺たちの領主としての称号も剥奪することが出来る。…俺たちが、権力(ちから)を失えば、美桜の首を絞めるだけだ。」
赤司は、目をゆっくり閉じ開けると、瞳の色が赤と黄色に変わっていた。
「アイツを許さない。僕に逆らう者は…親でも殺す…。」
殺気立った目で、ここにはいない自分の父を捉えていた。