第3章 兄妹ケンカ 初級編*及川徹
9時間ほど前。起床時刻だが華楓はまだ寝ている。
「おーい華楓ー!朝だよ起きてー!」
ガチャッと音を立てて扉を開けた及川は華楓を起こしに部屋にきた。
1週間に及川と岩泉が華楓の家に来る2日のうち片方は泊まっている。ので当たり前だが華楓を起こすのも及川の仕事なのだ。
あぁ…朝からテンション高いなおい…
ため息混じりのあくびをしながら華楓は布団を頭までかける。
「ほら起きてよ!遅刻するよ!」
一向に起きようとしない華楓に近づく及川。
普通女子高生の部屋にズカズカ入ってくるかね…
布団の中でそう思っていた華楓。すると
「うわぁっ!!」
「…えっ?」
華楓の部屋にあったコードに及川が引っかかり勢いでベットの上にいた華楓が入っていた布団を思い切りつかんだまま転けた。そして華楓は及川により布団とともに床に落ちた。
「…っおいこのグズ川。朝から何やってんだよ!!」
ものすごい音を立てたため別の場所にいた岩泉も気づいて華楓の部屋に来た。
「いやぁ…コードに引っかかっちゃってさぁ…あ、起きた」
床に叩きつけられ起こされた華楓は肩から落ちたのか、左肩を摩りながら布団から出てきた。
「…この」
「おはよー華楓っ☆」
「この…バカクソ兄貴っ!!!!」
「ってわけさ…で、何でそんなにみんな笑ってんのさ?」
及川の話を聞いていた部員のうち実際に見た岩泉と素直な金田一以外の松川、花巻、国見は笑いをこらえている。
「ぶははははっ!…これ笑うなっていう方が無茶だろ!」
「それ!華楓やるなアハハハ!!」
遂に笑い出した花巻と松川。言いたい放題いうと言うのはまさにこういうことなのか。
「マッキーとまっつん酷いよ!国見ちゃんなんて涙目になってんじゃん!そっちの方が酷いよ!!」
「…いや、あまりにも華楓が凄いんで思わず」
笑い泣きしている国見は涙を拭きながら及川に言った。
「…みんなみんな華楓華楓って…俺の心配してよね」
「誰がクソの心配すっかよ。華楓の手の方が心配するだろ」
岩泉はふてくされた及川に呆れたように言った。