第3章 兄妹ケンカ 初級編*及川徹
翌日、青葉城西高校にて。
「え…及川?」
「ん?マッキーどうした?」
「いやいや、及川の方がどうしたのか気になるわ」
及川の頬にはそこそこな大きさの湿布が貼ってあった。それに気づいた岩泉以外の部員は首を傾げながら不思議そうに見ている。
「いや…まぁね…アハハハ…」
「華楓に思い切り殴られてた」
誤魔化そうとする及川を無視して岩泉が暴露した。
「岩ちゃん!?!?」
「あーそういうことか。間近で見たらすげぇストレス解消できそうだな」
「華楓の力は凄かった」
「俺も見てみたかったわ…」
岩泉の言葉に乗っかる松川と花巻。
「ちょっとみんな少しは心配してくれない?」
「どうせ女子らに心配してもらってんだからいいだろ」
「うん☆」
顔に傷を負っていても普段と何一つ変わらない及川に周りは呆れていた。
「…で何があったんだよ?」
花巻が及川に聞く。そしてしぶしぶ及川が話し始める。
「…あのですね」
その頃烏野高校では…
「…華楓ちゃんそれ…」
右手に包帯を巻いてある華楓に山口が恐る恐る話しかける。
「あ、これ?大したことないから」
半分ヘラヘラした様子で華楓は答える。
「大したことないって…包帯グルグル巻きで言えることじゃないデショ」
「そっそうだよ!包帯なんて…その…怪我しないと付けないんだよ!」
まぁそりゃ包帯は怪我してするんだから当たり前だよ…
華楓を心配して声をかけた月島と谷地さん。(主に谷地さん)谷地さんの発している言葉が不思議で思わずツッコミたくなる3人。
「いやほんと大したことないって。ちょっと大きな切り傷だし」
「まさか及川ともめた…とかか?」
「まぁ…そんなところです」
澤村が冗談半分で言ったことが現実だった。周りで聞いていた部員もやや驚く。
「え!華楓大王様と何したの!?」
日向が驚きながらも興味を示しながら華楓に聞く。
「だがら…ただの兄妹ケンカ…」
「え、ちょっとまって!なんで兄妹ケンカで切り傷!?」
菅原をはじめ、みんなが頭の中をはてなと驚きで埋めている。
仕方なく華楓は経緯を話し始めた。
「えっとですね…」