第3章 兄妹ケンカ 初級編*及川徹
月曜日の昼過ぎ。祝日で華楓は学校が休み。部活もない。休日でも仕事のある香奏は家にいないためいつものように及川と岩泉がいる。
「あ、これ見たことない話だわ」
3人で刑事ドラマの再放送を見ている。華楓と岩泉は初めて見るらしい。
「えー…これ?」
及川は疑問そうにテレビを眺める。
「いやこれ俺見たことあるよ!あれでしょ、犯人がこいつの同僚の…」
「ああああああちょ、ちょっと言わないでよ!!」
「お願いだから黙ってろクソ!」
ネタばらしをしようとする及川を必死で止めようとする2人。
「え、まじで見てないの?」
「見てねぇもんは見てねぇんだよ。ほんと黙っててくれ」
及川にイライラしながらテレビに見入る岩泉。
自分が犯人誰だろうなぁって当てながら見るのはいいけど犯人言われるのは嫌だよね…
及川と岩泉のやりとりを見ながり微笑する華楓。
「ねーえー俺飽きたよ〜」
テレビに夢中の2人に話しかける及川。もちろん2人はスルー。
「俺見たことあるの!他のにしない?」
及川の言葉にイライラしながら2人が見続けているとTVはCMに変わった。
「聞いてる〜?他の番組にしよーよー!」
ねぇこのデカイの、どうする?
和室にでも連れてくか。
目で会話をした華楓と岩泉は及川をソファから引きずり下ろし隣の部屋に連れていこうとした。
「ほらバカ兄貴、こっちの部屋ならテレビもう1個あるから好きなもん見れるよ!」
「え、及川さんみんなと一緒に見たいんだよ!?」
「もうすぐアン○ンマン始まるぞクズ川」
「俺別に好きじゃないしそんなに幼稚じゃないよ!?」
2人に引っ張られるのを必死で抵抗する及川。その時、CMが終わりドラマが再開された。
「「あ、始まった」」
この2人の言葉と同時に及川は離され、後ろにひっくり返る。
「いったいなぁ…そこまでして見るほど面白くは…」
及川が言いかけたところで華楓と岩泉はいつものように睨んだ。
「…どうぞ。見ていいです…」
諦めの言葉を発した及川。
他の人から見たらこの時点で面倒臭い兄弟喧嘩に見えるが、この後さらに面倒臭いことになるとしたらどうなるのか…。