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 『さよなら』の先に  【Ib】

第3章  青い薔薇


少し歩くと花瓶があったので、花びらが少ない薔薇を生けた。すると、たちまち生き生きとした薔薇に戻った。

 回復した薔薇をポケットに入れ直し、先に進んで、もう一度あの人――鍵を借りた人――に声を掛けた。

「あの……大丈夫ですか?」
「うっ……ん……あら、苦しくないわ」

 そう言って倒れていた人は起き上がって、私の事を見た瞬間――

「うわっ! な、何よ! もうアンタにあげる物は何も無いわ!」

 大きな声で叫んだ。

「あっ、あの……私、何もしていませんけど……」
「あら、ごめんなさい! アタシを襲って来た奴らと勘違いして……本当にごめんね」
「いえ、大丈夫です。あ、これ、あなたのですか?」

 私は今までポケットにしまっていた薔薇を差し出した。

「あっ!! それは、アタシの薔薇!! アンタが助けてくれたの?」
「はい」
「そう。本当にありがとう! アタシ、ギャリーって言うの。アンタは?」
「イヴです。よろしくお願いします、ギャリーさん」
「ギャリーでいいわ。こちらこそよろしくね、イヴ」

 それから二人で話し合い、私はギャリーと一緒に行くことにした。

「一人より二人の方が絶対にいいものね! さ、行きましょ、イヴ」
「うん!」


 私に大切な友達ができた。
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