第13章 私の願い 二人の想い *番外編*
「さぁ、もう行きなさい。新しい家族が待っている」
そう言ってお父さんは、光の強い方向を指差した。
「新しい……家族?」
私はおうむ返しに聞いた。
「ああ。お前は外に出た少女の妹として生きていくのだ。きっと待っているだろうから、早く行ってあげなさい」
お父さんは一度言葉を区切ると、私に近付き頭を撫でた。そこには懐かしい冷たさがあった。
「……さて、私はもう行くとしよう」
「え……行っちゃうの?」
やっと会えたのに。まだ聞きたいことがあるのに。
私は泣きそうになりながらお父さんを見上げる。するとお父さんは苦笑しながらしゃがみこみ、私と変わらない身長で、私を優しく抱きしめ言った。
「外でもしっかりやるんだぞ。……私はお前の父として、心からお前を愛していたよ」
耳元で囁かれた言葉に目を見開いた瞬間、お父さんの身体は霧のように消えてしまった。
お父さんの背中に回していた手をゆっくりとおろして、私は辺りを見回す。そこにはただ、白い空間が広がるだけだった。
私はお父さんが指差していた光に向かって歩き出し、光に入る前に、今まで居た世界を振り返った。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん、お父さん。今までありがとう。……大好きだったよ」
誰にも聞こえるはずのない言葉を残し、私は光に飛び込んだ。