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 『さよなら』の先に  【Ib】

第13章  私の願い  二人の想い *番外編*


「やあ。久し振りだな、メアリー」
 真っ白になった世界で響いた声に、私は耳を疑った。
「……お父さん?」
 辺りを見回すと、そこには薄く笑ったお父さんが佇んでいた。
「ここは人間と作品の世界の間の世界。お前は今から人間の世界に行くのだが、その前にお前と話がしたかったから呼んだのだ」
「……話?」
「ああ。……お前はなぜ、外に出たかったのだ?」
 突然始まったお父さんの質問に、私は迷わず答えた。
「外に出て、色々なものを見たかったから」
 ――その『色々なもの』はまだ分からないけれど。
「では、あの男を犠牲にしてもか?」
「…………」
 続けて放たれた質問に、私は言葉を失いうつむいた。

 少ししか一緒に居なかったが、本当のところは、ギャリーはそれほど嫌いではなかった。だから、私の願いのためだけに犠牲にしてしまったのには、少なからず後悔がある。……まぁ、今となっては後の祭りだが。

 黙ったままの私に、お父さんはまた言葉を紡ぐ。
「もし後悔をしているのなら、お前はその後悔を背負ったまま生きろ。犠牲にした分まで生きて、一生償い続けろ」
「……後悔を背負って、一生償う……」
 お父さんの言葉を繰り返した私は、ゆっくりと顔を上げた。
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