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 『さよなら』の先に  【Ib】

第13章  私の願い  二人の想い *番外編*


「メアリー、その薔薇は……!!」
 ギャリーの驚いた声を聞いた私は、ああ、と一人で納得した。
「これイヴの薔薇だったんだ。道理で見たことあると思った!」
「……メアリー。その薔薇、イヴに返してあげて」
「えー。そうだなぁ……」
 貰った物だから簡単には渡したくなかったが、そこでふと、あることを思い付いた。

「じゃあ、ギャリーの薔薇と交換して?」

 ここでギャリーの薔薇を手に入れれば、ギャリーの命は私のもの。薔薇を引き千切ってしまえば、私とイヴの二人で外に出られる。
「イヴは薔薇、返してほしい?」
 きっと返してほしいはずだ。自分の命がかかっているのだから。けれど、イヴから返ってきた言葉は、私の考えを打ち砕くものだった。
「私は別に返してほしくない」
 それは小さな声だったけど、私を混乱に陥れるには十分なものだった。

 ――どうして? 自分の命がかかっているのに?――

 私には全く理解出来なかった。
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