• テキストサイズ

 『さよなら』の先に  【Ib】

第13章  私の願い  二人の想い *番外編*



 床に倒れて、どれくらいの時間が経っただろうか。
 気が付いた私はゆっくりと身体を起こし、ふるふると頭を振った。辺りを見回してみたが、そこにはもう、二人の姿パレットなかった。
「ねぇお姉ちゃん。二人、何か言ってた……?」
 一部始終を見ていた、壁に掛かった女の人の絵に問い掛ける。
『男が記憶を取り戻して、メアリーの秘密を女の子に話していたわ。女の子はかなりショックを受けていたみたいだけど、ここから立ち去る時は心配そうにあなたを見ていたわ』
「…………、そう。ありがと」
 お姉ちゃんからの言葉を聞いた私は、大きく深呼吸をして、二人を追うために走り出した。

 早くしないと、イヴとギャリーの二人が外に出てしまう。
 ……また私は一人になってしまう。

 ――もう、なりふり構っていられなくなった。


 他のお姉ちゃん達にも話を聞きながら進むと、チラッと揺れる紫が見えた。
 足音を立てない様にゆっくりと近付くと、大きな箱を覗きこんでいる二人がいた。
「これがおもちゃ箱? ずいぶんと大きいのね……それに底が深くて真っ暗だわ。……この中に鍵があるのかしら?」
「そうみたいだね……どうする、ギャリー?」
「うーん……」

「行ってみたら?」

 二人が話し合っている間に、私はこっそりと背後に回り込み、背中を思い切り突き飛ばした。
 私は二人が落ちていく様子を、そのまま黙って眺めていた。

/ 82ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp