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 『さよなら』の先に  【Ib】

第13章  私の願い  二人の想い *番外編*


 絵の言葉だからだろうか、どうやらイヴには聞こえなかったようで、スタスタと先に行ってしまった。絵の言葉に衝撃を受けて立ち止まっていた私は、ハッと我に返り、すぐにイヴの背中を追った。
 探索中、イヴが「早くここから出たいね」とか「ギャリー、一人で大丈夫かな……」とか話していたが、正直の所、今の私はそれどころではなかった。

 ギャリーが私の秘密を知った。

 それはつまり、私が絵である事を知ったのだ。

(きっとギャリーは、私が襲って来るお姉ちゃん達と同じだと思っているよね……)
 イヴとギャリーに取って、ここの作品=襲って来ると言うイメージなのだろうから、仕方無いと言えば仕方無い。
 けれど合流したら、おそらくギャリーはイヴに、私が絵である事を話すのだろう。そうすれば、イヴと二人で外に出られなくなる。それだけは避けたかった。

 どうしようかと頭を悩ませていると、隣の部屋からポソポソと話し声が聞こえてきた。
 中に入ってみると、そこには人形に向かって話しているギャリーの姿があった。
「……ギャリー?」
 イヴが信じられない様子でギャリーに近寄っている隙に、私は他の人形からここであった事を聞いた。どうやら仕掛けに掛かり、出られなかったペナルティとして狂ってしまったようだった。
 そこで私は考えた。

 ――これは一つのチャンスなのでは?
 狂ったままここに置いて行ってしまえば、私の願いは叶うのでは?
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