第13章 私の願い 二人の想い *番外編*
「……あ、」
そう言えば、二人を引き込んだは良いものの、どこにたどり着いたか分からない。
「……ま、良いか。探しに行けば」
私は引き込んだあの子に会うために、美術館の中を走り出した。
*
しばらく走り回って、やっと出会えた女の子の名前はイヴ。そしてなぜか一緒に居た、私の身代わりの男はギャリーと言うらしい。
せっかくあの子――イヴと二人で仲良くなって、こっそりここから脱出するつもりだったのに……
私はそんな不満を持ちつつ、一緒に美術館を探索することになった。するとすぐにギャリーと別れる事件が起きた。
イヴと二人きりになれたから、さっさと脱出してしまおうと思ったけれど、色々な仕掛けがあって素早く進めなかった。
――いや、正確に言うなら『進めたけれど出来なかった』だ。
こんな仕掛けなんて、美術館の中で一番の力を持っている私にかかれば、すぐに終わらせる事が出来た。ここの作品が襲って来ても、私に取っては兄と姉なのだから止めることだって出来た。
でも私はやらなかった。理由は簡単。私が普通ではない――最悪の場合、絵である事が知られてしまうからだ。
イヴは私の事を『普通の女の子』として扱っている。
例え、外に出たらここであった事を忘れるとしても、警戒されたくなかった。
そんな事を考えながらイヴと二人で歩いていると、壁に掛かっていた唇の絵が私にこう告げた。
『あの男がメアリーの秘密を知ったらしいよ』
それを聞いた瞬間、私の身体中に寒気が走った。