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 『さよなら』の先に  【Ib】

第13章  私の願い  二人の想い *番外編*


「ねぇ、お父さん。前に『外に出たい時は、外のニンゲンと入れ替われ』って言ったけど……ニンゲンって何?」
 お父さんは物知りで、私の知らない事を何でも知っていた。だから、私が質問すると、いつもちゃんと答えてくれた。
「人間とは私達と同じような形をした生き物だ」
「お父さんは人間なの?」
「あぁ。だがお前は違う。私に作られた作品――言うなればニセモノの人間だ」
「ニセモノ……」
 それは本物ではないってこと。これもお父さんから教わった。
「じゃあ、本物になるためにはどうしたらいいの?」
「外に出ればいいのさ。そうすればお前は本物の人間として外に出られる。ただし、その為には外の人間と入れ替わらなければならない」
「入れ替わらるにはどうするの?」
「外の人間をこちらの世界に引き込むのだ。お前が望めば簡単に出来るだろう。お前は私の作品の中で、一番の力を持っているのだから」
 頭を撫でてくれたお父さんの手は、相変わらず冷たかった。

「入れ替わった人間はどうなるの?」
 私は続けて聞いた。
「お前の抜けた穴を埋めるように、私の作品の仲間になる。死ぬ訳では無いが、人間達の世界から見れば絵になる。そうなったら、出られる方法はほとんど無い」
「ほとんど?」
 ほとんどと言う事は、ゼロではないと言うことだ。
「絵になった人間が元に戻る方法はあるの?」
「……一つだけ、な」
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