第12章 『さよなら』の先に
――四年後――
私は灰色の空の下を一人で走っていた。目的地はあの美術館。
そこでは今、ゲルテナの展覧会が行われている。
行っても彼に会える訳ではないけど、せめてちゃんと謝りたい。
私は四年前のあの日と同じ様にただ走った。
美術館は工事が終わり、前に来た時よりキレイになっていた。
しかし、美術館の規模の小ささと天気のお陰で、人はほとんど居なかった。
私は簡単に受付を済ませ、焦る気持ちを抑えながら、あの絵を探して小さな美術館の中を歩き回った。
ほどなくして、私は彼の絵を見付けた。
『忘れられた肖像』
それは、皆とここに来た日と全く変わらないままだった。
「ギャリー……」
私はギャリーの絵に手を置きながら謝る。
「ごめんなさい……。私があの時、薔薇を無くしちゃったから……。本当にごめんなさい……」
自然と涙がこぼれた。
その瞬間――