• テキストサイズ

 『さよなら』の先に  【Ib】

第12章  『さよなら』の先に


――四年後――

 私は灰色の空の下を一人で走っていた。目的地はあの美術館。
 そこでは今、ゲルテナの展覧会が行われている。
 行っても彼に会える訳ではないけど、せめてちゃんと謝りたい。
 私は四年前のあの日と同じ様にただ走った。

 美術館は工事が終わり、前に来た時よりキレイになっていた。
 しかし、美術館の規模の小ささと天気のお陰で、人はほとんど居なかった。

 私は簡単に受付を済ませ、焦る気持ちを抑えながら、あの絵を探して小さな美術館の中を歩き回った。

 ほどなくして、私は彼の絵を見付けた。

『忘れられた肖像』

 それは、皆とここに来た日と全く変わらないままだった。
「ギャリー……」
 私はギャリーの絵に手を置きながら謝る。
「ごめんなさい……。私があの時、薔薇を無くしちゃったから……。本当にごめんなさい……」
 自然と涙がこぼれた。
 その瞬間――
/ 82ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp