第11章 届かぬ手紙 *番外編*
アタシがそれを知ったのは、二人と別行動をしている時だった。
石でできた茨のツルによって別行動を余儀なくされて、アタシは一人でなんとか出来ないか、色々調べていたんだ。
抜け道を見つけ、絵の具玉を集めることになった時、アタシは見た。見てしまった。本棚の中にあった一冊の本――ゲルテナ作品集 下――の、あのページを。
『メアリー』
そこには、途中で仲間になったメアリーの名前と、メアリーそっくりの絵があったんだ。
キレイな金髪に青い目、高級そうなワンピース。絵に描いたような美少女だと思ったけど、まさか本当に絵から出てきたとは思わなかったわ。
そして――これは最期まで君に話さなかった事だけど――その本棚の中には、この世界のことを書いた本があったの。
そこには――、
ここはアタシ達が来た元々の美術館の裏の世界――ゲルテナによって作られた作品達の世界であること。
ゲルテナが作り出した作品は、ゲルテナの魂が込められていて、生きている人のように動くこと。
作品達は自分を壊されることを恐れて、ここに入って来た人を襲うこと。
入口は多々あるが、出口は一つであること。
作品は外に出ることが出来たら、実在する人として外で生きていけること。
ここに迷い込んだ人数だけ出ることが許されること。
その他色々と書いてあった。