第11章 届かぬ手紙 *番外編*
普通じゃ絶対あり得ない光景にアタシはパニックになり、逃げるのが遅くなってしまったの。
その隙を見付けた女はすかさずこちらに近づいて、アタシが持っていた薔薇を奪い、その花弁を引きちぎった。
その瞬間、身体中に激痛が走り、立っていられなくなった。だか、このままでは危ないと思ったアタシは、必死に薔薇を奪い返し全力で走った。
走っている途中で見付けた鍵と、花弁が辛うじて残っている薔薇を握りしめながら。
女が追って来ていないことを確認し、安心したとたん身体中に痛みが戻って来て、アタシはそのまま意識を失った。
耳元で誰かの声がした。気付けばもう苦しくなく、ゆっくりと目を開けた。
すると目の前には――そう、君が立っていたの。
君はアタシと同じように迷って、そしてアタシを助けてくれたんだよね。本当にありがとう。
それからアタシは君と一緒に進むことにした。
進んで行くうちにもう一人、メアリーが仲間になって、一人で歩いていた時より比べ物にならないくらい賑やかになった。
『このまま三人でここを出る』
アタシはそれを目標に進んでいたんだ。
――その願いが叶わないと知ったのは、この目標を立てた少し後、二人と別行動をしている時だった。