第3章 青い薔薇
「……はぁ、はぁ……ここまで来れば、大丈夫かな……」
こちら側の美術館に来て、どれくらいたっただろうか。時計を持っていないので、今の時間もどのくらいたったのかも解らない。
あの薔薇を取ってからここに来るまで様々なモノに襲われた。そして、さっきも――
いつになったら、ここから出られるのだろう……。
はぁ、と、ため息をつきながら次のドアを開けると、そこには人が倒れていた。
始めは襲ってくると思い警戒したが、全然動かないので声を掛けてみることにした。
「あの……大丈夫ですか?」
「…………うぅっ……」
その人は、紫色の髪にボロボロのコートを着ていた。よく見ると手には鍵が握られていた。
「これって……さっき開かなかったドアの鍵、かな?」
『さっき開かなかったドア』と言うのは、分かれ道の先にあったドアの事で鍵がかかっていたのでこちらの道へ来たのだ。
「えっと……鍵、借りますね」
何度声を掛けても起きない人から鍵を借り、開かなかったドアの方へ歩き出した。