第10章 後悔
「「「ハッピーバースデー、イヴ!!」」」
今日私は十歳の誕生日を迎えた。
そこで家ではささやかなパーティが開かれていた。
「イヴ、プレゼント!!」
「ありがとうメアリー」
誕生日プレゼントとしてメアリーから髪をしばる赤いリボンをもらった。
「おそろいにしたんだよ!」
メアリーは自分の髪にしばられた赤いリボンを見せた。金髪に赤色がよく似合っていた。
「うん。かわいいと思うよ!」
「えへへ♪ やった!!」
「お父さんからはこれだ」
そう言ってお父さんは分厚い本を取り出した。
「覚えているかい? 一年前に行ったゲルテナの展覧会の事。これはそこに飾ってあった絵の画集だよ。あの展覧会はイヴも気に入っていたようだし、喜んでくれると嬉しいな」
「ありがとうお父さん!!」
「お母さんからはこれ」
差し出されたのは白いレースのハンカチ。
「前の誕生日にあげたやつ、いつ無くしたの? 今度は無くさないようにね」
「うん。ハンカチ無くしちゃってごめんなさい。今度はちゃんと大切にするね!」
皆からプレゼントをもらい、楽しいパーティの時間はあっという間に過ぎていった。
*
「今日は楽しかったなぁ……」
自分の部屋でベッドに横になりながら一人つぶやいた。
「あ、そうだ。お父さんからもらった本……」
まだ寝るのには早かったので、お父さんからもらった画集を見ることにして、分厚い本をベッドに持ってきた。
「……うわぁ。懐かしいなぁ……」
そこには約一年前に見た絵の数々が並んでいた。
『新聞を取る貴婦人』、『心配』、『赤い服の女』――その他にもオブジェの写真もいっぱいあった。
私はとある絵でページをめくる手を止めた。