第9章 外へ
もう少しよく見ようと絵に近づいた瞬間、
「あ! イヴいた! もう、探したんだからね!」
名前を呼ばれ、腕を引かれた。そこにはお母さんが立っていた。
「さっ、行きましょ! 二人とも一階で待ってるわ」
「う、うん」
あの絵をじっくり見たかったなぁ……
そう思いながら階段を下りた。すると、
「おっそーい!! もうお腹空いちゃったよ!!」
「まぁまぁ、メアリー落ち着きなさい。ここを出たらカフェにでも行こうね」
一歳年下の妹メアリーと、お父さんが待っていた。
「良いわね、カフェ。イヴもお昼はそこで良い?」
「うん」
「私、オムライスが良い!!」
「ハハ、メアリーはオムライスが好きだね」
「だって美味しいもん!!」
お昼ご飯をカフェで食べる事を決めた私達は美術館を出た。
「…………」
「? イヴ、どうしたの?」
歩きながら考え込む私にメアリーが声をかけてきた。
「うん……私、何か大切な事を忘れている気がするの……」
「良いんじゃない? 思い出せないなら、無理に思いだそうとしなくても。それより、帰ったら何して遊ぶ? ……何がいいかなぁ」
美術館が退屈だったのか、メアリーはもう家で遊ぶ事を考えているようだった。
おもむろにメアリーは私の手を握り、満面の笑みで言った。
「これからも……ずっと一緒にいようね! イヴ!!」
「うん!!」
私はメアリーの手を握り返しながら、同じく笑顔で言った。