第9章 外へ
『好き……嫌い……好き……嫌い……』
ギャリーと別れた先にあった道へ進むと、少しづつ声が聞こえてきた。
この声は間違いなく――、
「メアリー!!」
階段を上りきり少し広い場所に出た私は、そこに居た金髪の少女の名を呼んだ。
「これでやっと……。フフフ……ハ、アハハハハハ!!」
メアリーは私の事なんてどうでもいいのか、またどこかへ行ってしまった。
メアリーが立っていた場所には、青い薔薇の花弁と花弁がなくなってしまった薔薇の茎だけがポツンと落ちていた。
メアリーが出ていった方の道へ行くと、見たことあるような場所へ出た。
そこは、この悲劇が始まった場所――私がお父さんとお母さんと一緒に来た普通の美術館とそっくりだった。作品の配置までも一緒だった。
私は一階をぐるりと歩き、二階も調べた。
すると二階の一番大きな部屋に、とても大きな絵があった。
絵があるのは普通の美術館と一緒なのだが、どこか違う雰囲気がする。
「これって……?」
そう、『違う雰囲気がする』のは当たり前だ。
何故なら、絵の内容が違っているのだから。普通の美術館で見たのは黒っぽい絵だったが、今は白っぽい絵になっている。その絵の下には張り紙があった。
『 絵空事の世界 』
『飛び込んだらもう戻れない ここでの時間はすべて失う それでもあなたは飛び込むの?』