第8章 おもちゃばこ
目を覚ますとそこは、薄暗い空間だった。
体を起こそうとすると、少し痛んだが、どうやら無事らしい。
周りを見回すと、所々子供の落書きの用な絵とたくさんのおもちゃが見えた。
けど、大切な物が見当たらない。
この不思議な世界に入ってからずっと持ち歩いていた、私の赤い薔薇がなかった。それに、一緒に落ちたはずのギャリーも居なかった。
「ギャリー!!」
……返事が無い。私はおもちゃに足を引っかけないように注意しながら、辺りを歩くことにした。
歩き始めてすぐに、私はギャリーを見つけた。落ちたショックで気絶しているらしい。
「ギャリー!!」
慌てて近づき肩を揺らす。
「うっ…………イヴ?」
「ギャリー大丈夫?」
「えぇ、少し体が痛いけど……イヴは?」
「大丈夫だよ」
「そう、良かった。それよりここって……おもちゃ箱の中? アタシたち落とされたのよね……追ってきたあの子に……。って、イヴ、顔色悪いけど本当に大丈夫?」
ギャリーは私の顔を心配そうにのぞきこんできた。
「うん、私は大丈夫だけど、薔薇が……」
「薔薇? ……って、え!? イヴ、もしかして入って無くしちゃったの!?」
「うん……」
「大変じゃない!! 急いで探しましょ!!」