第8章 おもちゃばこ
さっきギャリーが言っていたように、改めて回りを見回すと、確かに雰囲気が違う場所へ来た。
今までは美術館のような場所だったのに、ここはまるでスケッチブックにクレヨンで描かれたラクガキの中に入ったようだった。
「さて、これからどうしましょう……ん?」
壁を見つめるギャリーにつられて見ると、そこには子供が書いたような字で『ぴんくのかぎは、おもちゃばこにしまうこと』と書いてあった。
「おもちゃ箱? そこに行けば鍵が手に入るのかしら? 行ってみましょ!」
「うん!」
ここは、今まで見てきた中では道は簡単な方で、すぐにおもちゃ箱がある部屋にたどり着いた。
その部屋はおもちゃ箱らしき大きな箱がポツンとあるだけの、殺風景な部屋だった。
「これがおもちゃ箱? ずいぶんと大きいのね……それに底が深くて真っ暗だわ。この中に鍵があるのかしら?」
「そうみたい……どうする、ギャリー?」
「う~ん……」
「行ってみたら?」
それはとても馴染みのある声。
私達が振り返ろうとした瞬間、背中に衝撃が走り、おもちゃ箱に突き落とされた。
視界が黒で塗り潰される直前に見えたのは、
揺れる金色だった。