第8章 おもちゃばこ
色々探した結果、私とメアリーが探検していたフロアに先に続く道があったので、そこに進むことにした。
その途中でそれは起こった。
「あら? メアリー、薔薇落としたわよ……って、え!?」
メアリーが落とした薔薇をギャリーが拾った瞬間――
「さわらないで!!」
メアリーは大声を出して、殺気のこもった目でギャリーを睨み付けながら、パレットナイフを握っていた。
そのパレットナイフには見覚えがあった。ギャリーと別れた直後、物置のような部屋で手に入れたものだ。『念のため持っていく』と言っていたが、まさかまだ持っていたとは思わなかった。
「ちょっとメアリー!! 危ないわよ!? 早くそれをしまって!!」
「うるさい!!」
パレットナイフを取り上げようとするギャリーと、抵抗するメアリーが揉み合いになり、結果――
「あっ…!」
メアリーが倒れ、動かなくなった。
「メアリー!!」
慌てて駆け寄ろうとする私をギャリーは手を出して止めた。
「……ギャリー……?」
私は意味が分からなかった。なぜ、メアリーの側へ行くのを止められる必要があるのか。
そんな私にギャリーは驚きの言葉を放った。
「イヴ、落ち着いて聞いて。……メアリーは人間じゃないの」
「…………え?」
頭が真っ白になった。だって今の今まで一緒に探検していたのに?
ギャリーは続けて言った。
「思い出したの。曖昧だった記憶を――」