第7章 渾身の一発
「ちょ、ちょっとイヴ!?」
メアリーが何事かと近づいて来たが、そんな事はお構い無しだ。
ギャリーは何が起きたか分からないような表情でこちらを見上げ、首をかしげた。
「ギャリー!!」
私はギャリーの目を見ながら必死に名前を呼んだ。すると――
「イ……ヴ?」
目の焦点を私に合わせ、ギャリーは私の名前を呼んだ。
その瞬間、私の中に張り詰めていた緊張の糸が切れて、気がついたらギャリーに泣きついていた。
「うぇ……ギャ、リー……うぅ」
「……何だかよく分からないけど、心配かけちゃったみたいね……ごめん」
「……うん!!」
この時の私はギャリーが元に戻った喜びと安心で気付かなかった。
「何で戻ったの?」
と、メアリーが一人つぶやいていたことを――
*
「アタシ、色々と混乱してて記憶が曖昧なのよね……」
「無理に思い出さなくても良いんじゃない? そんなに重要な事じゃないんだよ、きっと」
「そう……かしら?」
無事ギャリーと合流し先に進んでいる最中、私は二人で話している後ろ姿を見ながら、一人考えていた。
(ギャリーが元に戻って本当によかった。このまま三人でここを出られるといいなぁ……)
だが、この直後、私は知ることになる。
どれだけ願っても私の願いが叶わないことを。