第6章 独り、暗闇で
アタシの前に現れたのはあの青い人形だった。その人形の横には――
『こんにちはギャリー。ねぇ、いっしょにつれてって』
「…………」
青い人形を置き去りにして先へ進む。が、少し進むと、
『ねぇ、どうしてむしするの?』
「…………」
『えいえんにここにいろ』
そして、最後のドアの前の人形は一言、
『つ れ て い け』
「もう、なんなのよ!! いい加減にしなさい!!」
思いきり人形を蹴りたい衝動にかられたが、
「……こんな奴らには、関わらないのが一番だわ」
壁の方へよけて、アタシはドアへ向かった。
「さてと、イヴ! メアリー! いたら返事して!!」
数秒待ってみるが返事はなし。
「やっぱりいないか……。一人でどうにかしなきゃ」
そう自分に言い聞かせ、このフロアの部屋を片っ端から調べることにした。
《七つの色彩 絵の具玉を集めよ さすれば部屋は色づき そなたの架け橋となるだろう》
このフロアの一番奥の部屋。その部屋は七本の台座が立っているだけの部屋だった。
「えっと、つまり……七つの絵の具玉を集めれば先に進めるってこと? そもそも絵の具玉って何かしら? ……とにかく早く合流しなきゃ」
壁に張ってあった張り紙を見ながらアタシはつぶやいた。……最近、独り言が増えた気がする。独り言が増えるとボケてくると言う噂を聞いた事があるが、きっと大丈夫だ。何より、こんな所で一人だったら、誰だって独り言を言うだろう。それに自分はまだ二十代だ。ボケてたまるか。