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 『さよなら』の先に  【Ib】

第6章  独り、暗闇で


 時は少し戻り――イヴ達が物置らしき部屋で停電にあっていたころ――

「イヴ! メアリー! 聞こえたら返事して!!」
 アタシは石の茨の隙間から叫んだ。
「……ダメだわ。あぁ、やっぱり二人で行かせない方が良かったんじゃ……」

 二人が元気に向こうの部屋に入ってから十分くらいたったが、一向に帰ってくる気配が無い。
「……ずっと待ってても仕方ないわ。もう一度あの部屋でも調べ直してみようかしら……。あんまり入りたく無いけど」
 
 ドアの前に立ち、大きな深呼吸をして、意を決してドアを開ける。
 そして中央にある絵をもう一度見て、
「これの一体どこがカワイイのかしら? 何度見てもキモチワルイわ……」
 

青い肌色に赤い目、ボサボサの黒髪に顔の端から端まで裂けている口
 そんな人形の絵をもう一度見てつぶやいた。



「さて、やっぱり役に立ちそうな物は無い……って、ん?」
 部屋を見回してあることに気付いた。それは、さっき調べたはずの本棚。その本棚と壁の間に少し隙間があるのが見えた。
「あら? 隙間? ……もしかしてこの本棚」
 本棚に手をかけて思いきり引く。すると、大人一人がやっと通れるような穴が姿を現した。
「ふぅ……。やっぱり動いたわ!! さっきは何で気付かなかったのかしら? まぁいいわ、これで先に進めるし。イヴ、メアリー、待っててね!」

 早くイヴとメアリーに合流するためにアタシは先に進んだ。
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