第5章 黄色い薔薇
「ねぇ、メアリー。あのマネキン、入ってくる時には壁の近くにあったよね?」
「うん――って、え!? 何でドアの前にいるの!?」
「分からない……。二人で動かそう!」
そのマネキンがあってはならない理由――それは
「…………ふぅ、やっぱりダメ。ムリだよ……」
二人がかりで動かないからだ。
「しょうがない。先に進むしかないか」
「……そうだね。ギャリーには心配かけちゃうけど、出れないし……。行こう、メアリー」
「うん!」
私とメアリーは次のドアに向かった。
「そう言えばイヴ、ギャリーって、イヴのお父さん?」
「え!? 違うよ? ここで知り合ったの」
「ふーん……お母さんは? イヴのお母さんは優しい?」
「う~ん……怒ると怖い」
「あははっ!! イヴでも怒られるんだ~。……そうだよね、早く本物のお父さん達に会いたいよね。私も早く外に出たいよ。絶対一緒に出ようね! 約束だよ!」
「うん!」
私達は二人仲良く手をつないで先に進んだ。
「あ、そう言えばギャリー、一人で大丈夫かな?」