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 『さよなら』の先に  【Ib】

第5章  黄色い薔薇


私とメアリーは、ギャリーと別れて次の部屋で役に立つ物を探していた。
そこには、マネキンや段ボールがたくさんある物置みたいな部屋だった。

「ねぇ、メアリー。このイスであのツル折れるかな?」
「う~ん……ムリじゃないかな。それにこのイス、床にくっついてとれないよ」
「そっか……他に何かない?」
「……あ」

 メアリーは声をあげて一つの段ボールの中ををガサガサと探し始めた。

「よいしょっと……これなんかどう?」

 そう言って出してきたのはパレットナイフ。絵の具を練ったり、削ったりする小刀だ。

「これであのツル……ムリかな?」
「多分、ムリだね」

 二人で大きなため息をつく。

「でも、念のため持っていこうかな……念のため……ね。じゃ、良い物無かったし、ギャリーのところ戻ろっか?」
「そうだね」

 私が返事をした直後、

 ――フッ――

 と、視界が黒で塗りつぶされた。

「うわっ!? 停電!? イヴ、居るよね!?」

 ……何かギャリーと同じような事をやったなぁ……

「うん、居るよ」
「よかったぁ……あ、」

 ――パッ――

「明かり付いた……もう、付かないと思ったぁ! さっ、ギャリーのとこに戻ろ!!」
「うん! ……え?」

 私は返事をした後、入口を見た。そこには、あってはならない物があった。
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