• テキストサイズ

 『さよなら』の先に  【Ib】

第2章  それは、唐突に



「『ゲルテナ』って、あまり人気じゃないらしいけど、前から来てみたかったのよこの作品展!!」

 お母さんが嬉しそうに言った。

「母さん、受付済ませてしまおうか」
「そうね、パンフレットも貰いましょう」

 カウンターに行くと、少し時間がかかると言われた。

「……お母さん、先に見て回ってもいい?」

 このまま待っているのは退屈だった。

「え!? 仕方ないわね……。いい? 美術館では静かにしてなきゃダメよ」
「父さん達も受付が終わったら行くから、迷子にならないように気を付けてね」
「は~い」

(まずは、一階を回ろうかな?)

 一階は混んでいないが、そこそこの人がいた。 壁にはたくさんの絵があって、その中で一番大きな絵の隣に案内板が掛かっていた。


【本日はご●●いただき ●にありがとうございます。当館では、《ワイズ・ゲルテナ作品展》を●●しております。●おしきも美しい作品達を心行くまでご●●下さい。 館長】

 所々、難しくて読めない字があったが、

(……来てくれてありがとう、って事だよね?)

 軽く流した。
/ 82ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp