第2章 それは、唐突に
「『ゲルテナ』って、あまり人気じゃないらしいけど、前から来てみたかったのよこの作品展!!」
お母さんが嬉しそうに言った。
「母さん、受付済ませてしまおうか」
「そうね、パンフレットも貰いましょう」
カウンターに行くと、少し時間がかかると言われた。
「……お母さん、先に見て回ってもいい?」
このまま待っているのは退屈だった。
「え!? 仕方ないわね……。いい? 美術館では静かにしてなきゃダメよ」
「父さん達も受付が終わったら行くから、迷子にならないように気を付けてね」
「は~い」
(まずは、一階を回ろうかな?)
一階は混んでいないが、そこそこの人がいた。 壁にはたくさんの絵があって、その中で一番大きな絵の隣に案内板が掛かっていた。
【本日はご●●いただき ●にありがとうございます。当館では、《ワイズ・ゲルテナ作品展》を●●しております。●おしきも美しい作品達を心行くまでご●●下さい。 館長】
所々、難しくて読めない字があったが、
(……来てくれてありがとう、って事だよね?)
軽く流した。