第5章 黄色い薔薇
『この絵のタイトルは?』
ドアの前には、このメッセージとともに見たことがある絵の写真が貼ってあった。
どうやら絵のタイトルを入れないとドアが開かない仕組みらしい。
「う~ん……さっき休んだ部屋からここまで来たは良いものの……絵のタイトルなんて、いちいち覚えてないわよ……確か『深海のなんとか』って言うタイトルだったと思うけど、イヴ覚えてる?」
そう言いながらギャリーは私を見る。
忘れるはずも無い。何故ならその絵は、私がこの世界に来た時に通った絵だったからだ。だからタイトルも覚えているのだが、一つ問題がある。
「えっとね……字の形はなんとなく覚えているけど、読めないの。どうしよう?」
「じゃ、床に書いてくれる? なんとなくでも良いから!」
私は言われるがまま、床に『世』という字を書いた。
「世……あ!! 『深海の世』!! そうよ、それだわ!!」
ギャリーは叫んだ後、ドアに『しんかいのよ』と入れると
――カチッ
と、ドアの開く音が響いた。
「イヴ、正解よ! やったわね!」
「うん! よかった!!」