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 『さよなら』の先に  【Ib】

第4章  レモンキャンディー


「…………っ!!」

 目を開けると、そこは見知らぬ部屋だった。どうやら私は寝ていたらしく、ギャリーのコートが毛布の様に掛けられていた。

(何だったの? さっきのは夢?)

 くるくると見回すと、

「あ、イヴ、起きたの?」

 少し遠くにいたギャリーがこちらによって来た。

「ギャリー……ここは?」
「イヴが倒れた場所の近くにあった部屋よ。倒れたの、覚えて無い?」
「……よく覚えて無い」

 目の前が真っ暗になったのは覚えているが、そこから先は記憶が無い。

「……イヴ、顔色悪そうだけど大丈夫?」

 少し俯いて考えていると、ギャリーが心配そうに顔を覗きこんできた。

「うん、ちょっと怖い夢見たけど平気だよ」
「そう。まぁ、あんな事があったんだから無理も無いわね。起こせばよかったんだろうけど、ごめんなさい、気が付かなくて……」
「ううん、大丈夫だよ。ありがとう、心配してくれて」

 そう言うとギャリーは、フッと笑った。

「どういたしまして! ……イヴ、そのコートのポケットの中、探ってみて?」

 言われるままポケットを探ると、出てきたのはレモンキャンディー。

「それ、あげるわ。食べても良いわよ。ここは安全そうだから、もう少し休んでから行きましょ」

 ギャリーはそう言い残して、本棚らしき所へ行って本を読み始めた。
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