第4章 レモンキャンディー
「きゃっ……!」
「だ、大丈夫よ!アイツ足遅いから、こっちに近寄ってきた隙にアイツが作った穴から出ましょ!」
ギャリーと手を繋ぎながら女の絵の隙を見て外へ出ると、そこに広がっていたのは大量の女の絵が一斉に襲ってくる、地獄の様な風景だった。
「イヴ! あの開いているドアの所まで全力で走るわよ!」
ギャリーは開いているドアを指さしながら叫んだ。
「う、うん!」
私達は女の絵を避けながらドアまで全力疾走した。
命からがらドアの向こうに入って、一息つく。
「はぁ……はぁ……こ、ここまで来れば大丈夫でしょ。ドアもきちんと閉めたし……ざまぁみなさい!」
ギャリーも私も怪我は一つも無かった――けれど……
(どうして……どうして私達だけこんな目に会わなくちゃいけないの? 何で……何で!)
そんな事を考えていたら、フッと目の前が真っ暗になった。
暗くなる直前、ギャリーの驚く顔と私を必死に呼ぶ声が聞こえた気がした。