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 『さよなら』の先に  【Ib】

第4章  レモンキャンディー


 絵の前で固まったまま同じ事をぐるぐると考えていると、本棚を見ていたギャリーが近づいてきた。

「ここにも出るための情報とかは無さそうね……ってイヴ、どうしたの?絵を見たまま固まっちゃって……」
「……お父さん、お母さん……」

 私は蚊の鳴く様な小さな声で言った。

「え!? この絵に描かれている人って、もしかしてイヴのお父さんとお母さんなの!?」
「うん……。ねぇ、ギャリー……。お父さんとお母さん、大丈夫だよね? 無事だよね?」
「……何言っているの! 大丈夫に決まっているじゃない! だから、早くここから出る手段を見つけてお父さん達に会いに行きましょう!」

『大丈夫に決まっている』
 その言葉に救われた気がした。

「……うん! ありがとう、ギャリー!」
「どういたしまして! さて、ここには良い物が無かったから出ましょうか」

 そう言ってギャリーはドアノブを回した――が、

「え……開かない! 嘘!? 鍵は開けっ放しのはずなのに!」

 ガチャガチャと何回もドアノブを回すが、開く気配が無い。代わりに聞こえてきたのは――

 ドンッ……ドンッ。

 と、何かがドアを叩く音。

「ギャ、ギャリー……」

 私はギャリーのコートを掴んで顔を見上げる。ギャリーは私の手を握りながら言った。

「二人で居れば平気よ! きっと……」

 ギャリーがそう言った瞬間――

 ドーン!!

 コンクリートの様な素材で作られた壁を破って、女の絵が部屋に入ってきた。
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