第3章 逆らいの条件
帰り際、通りすがりの生徒達がコソコソと私達を見ている。
「……あの人カッコ良くない?他校?」
「でもあれ彼女っぽくない?」
人の視線を浴び慣れているのか及川先輩は堂々としているけど、私は肩が縮まる。
彼女じゃない……。
今きっとこの人は機嫌が悪い。
だから刺激しないで……。
「久しぶりだねシホ。言いたいことわかるよね?」
「っ……、はい」
こればっかりはどうしようもない。
明日は土曜日。……今日に限って……。
私は親に友達の家に泊まるとメールを入れた。
たぶん、今日は帰れない……。
電車の中で揺られながら、私は隣にいる及川先輩が怖くてずっとうつむいていた。
電車を降りて、及川先輩の家に向かう。
その最中に明日三対三の一年同士の試合があることを思い出して、いけないかもしれないと潔子さんにメールをした。
同じ一年の事を知るために行った方がいいんだけど、今はこっちが優先だ。
サボりっぽくないように、複雑な用事で……そうメールに書いた。
及川先輩の家について驚いた。
なんで……。
ドアを開けた先にいたのは、大好きな……岩泉先輩。