第3章 逆らいの条件
カッコ良くてたくましくて……愛おしいその姿に涙が出そうになった。
驚く私に、岩泉さんは知らん振りをしている。
「ただいま岩ちゃん。反逆者を連れてきたよ」
「おう。久しぶりだな」
冷ややかな目を向けてくる岩泉先輩。
優しい顔は一つも見られない。
岩泉先輩は及川先輩と一緒にいたから、生半可な演技じゃすぐバレてしまう。
だから私も知らないふりをした。
「ごめん、なさい……」
部屋に連れられ発した第一声はそれだった。
きっとこの後セックスするのはわかってる。
だから、今するべきなのは岩泉先輩と別れないようにすることだけ……。
「理由言ってよ」
「家が近くて……けど、そんな理由で青城選ばなかったなんて、理由にならないと思って、言えませんでした……」
次にお父さんが転勤するのは宮城だったけど、前とは違うトコだった。
だから、青城以外で近い場所を選んだんだ。
「本当にそれだけ?」
ゾワッ……。
背筋が、ゾッとなる。
見抜かれてるみたいだ。
見抜かれて、るの……?
「だって、ずっと会ってなくて……二年前の感覚じゃ、同じようにエッチできないと思ったんです…」
それは本当だった。
二年前と同じようにエッチなんてできないと思ったからこそ、更に及川先輩が怖かった。
あっちでは誰ともヤってなかったから、感覚すらもわからない。
あの頃私は中一だったから、一夜の過ちみたいな……そんなのだったんじゃないかなって、不安だったんだもん。