第3章 逆らいの条件
無言で立ち尽くす私に、大地さん。という方が寄ってきた。
「こんちには。君、新一年?」
「あっ、はい。私、マネージャー希望なんですが……」
「本当かっ⁉︎それは助かる!俺、三年でバレー部の主将してる澤村大地だ。よろしく」
やっぱり優しい人だ。
しっかりしてそうだなぁ……。
「真白シホです。よろしくお願いします」
頭をぺこりと下げた。
北一や転校先ではいなかったタイプの人だ。
でもさすが高校生。しかも三年。
礼儀正しいし、しっかりしてるなぁ。
岩泉先輩もやっぱりあの頃と違ってるかな?
あの頃よりもっとカッコいいのかな……。
早く見たいな〜。って、先輩の前で妄想するのはやめよ。
首をブンブン振った私に、澤村先輩は首を傾げていた。
「皆、ちょっといいか」
澤村先輩の一言で練習が中断されて、先輩達が集まってきた。
わ、私のためなんかにそんな、練習中断なんてっ……!
アワアワする私にお構いなしに、澤村先輩は私を紹介。
「それじゃ真白から一言」
えっ、え……先輩相手にいきなり一言…⁉︎
「真白シホです」
名前以外に何か言うことって……なに。
「よ……よろしくお願いします」
そんな言葉しか出てこなくて、わざわざ練習を止めてもらったのが本当に申し訳ない。
よろしく。って声をかけられて、ペコペコ頭を下げるしかなかった。