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【ハイキュー】大王様の奴隷〜命令H〜【R18】

第13章 敗北の慰め


涙でぐちゃぐちゃになった顔を腕や手のひらで拭う。


ゆるゆるになった鼻を何度もすすって、ようやく私は泣き止んだ。


顔をあげれば泣き止んだ影山の顔がすぐそこにあった。


普段の影山からは想像できないような情けない顔で、目元が真っ赤になっていた。


まだ小さく震えながら、私と目が合うと小さな声でシホと名前を呼んだ。


たぶん今の私もこんな顔してる。


馬鹿なことしたな……。


どこから、間違ってたんだろう。


今何から話せばこれから間違わずに済むんだろう……?


「シホ……ごめん……」


掠れるような声。


まだ影山の目は呆然として、事実を受け止めきれてない様子だった。


「だから、謝らないでって言ったでしょ…?」


「でも俺は…お前を傷つけた……」


違うよ。


私は首を横に振ってみせた。


「ご……」


謝りかけた自分の言葉を飲み込む。


相手に謝られて自責の念に駆られる連鎖が、これ以上続かないように。


「謝るのだけは、無しにしよう……」


「……」


また謝ろうとしていた口を影山もグッと結んだ。


謝ってたって何もならないし、このまま終わってしまえば次に影山に会うのが怖くなる気がした。


影山の事だから私を避けるんじゃないかと思ったから。


「……あ」


「俺は、どうしたらいい……」


なかなか言葉を見つけられない私より先に、影山はまた泣きそうな顔をして言った。


合っていた視線が落ちて、私の肩の辺りを見つめた。


眉間にしわが寄っていて、痛々しそうに影山が噛んだところを見ている。


「……どうやったら、お前を慰められる?」


謝る以外に許しを乞う方法を私たちは知らない。


私は何をしたら満たされるんだろう……?


「何でもいい……?」


「それでお前の気が済むなら何でも」


どんなものでも受け入れるっていう影山の顔が苦しそう。


……影山が考えてるような事なんて、求めてないよ。


「キスして」


「……っ」


「優しいのがいい」


セックスの時、私たち一回もキスしてなかった。


優しくて甘いだけの二人とも慰めるようなキスが欲しい。


また泣きそうな顔しないでよ……。


ゆっくり影山の顔が近づいてきて、私たちの唇が触れ合った。
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