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【ハイキュー】大王様の奴隷〜命令H〜【R18】

第13章 敗北の慰め


それなのに、その結果が目の前のこれ……?


お互い泣いて苦しくて、試合の悔しさを消すどころか関係ないところでも痛みを生んで。


私がやってたことの意味なんて、ないんじゃないの……?


そう思えばまた泣きそうになるけれど必死に抑えて、きつく抱きしめたまま影山の首筋に頭を埋めた。


縋る思いで、今度は顔を見るんじゃなくてちゃんと声に出す。


「お願い……、泣かないで…っ」


「……っ!」


「謝らなくていいっ…泣かなくていいッ…。影山…っ、何もっ…悪く、なぃ…」


泣かないつもりが言いながらまた涙が溢れ出す。


人に泣かないでなんて言いながら私が涙を流す。


私、馬鹿だ。なんて馬鹿で力不足……。


やってることがめちゃくちゃで、矛盾だらけで。


後先考えないから、こんな…っ。


また、涙が……止まらなくなってきた…。


体が震え始めて泣いてるのなんてバレバレだけど、下唇をかみ締めて必死にこらえる。


こんなんじゃ影山に泣かないでなんて言えない。


一人で全部背負うこと、無理だったよ……。


ごめんね……。


「シホ……っ」


弱くて、ごめん。


震える手で影山の背中を縋るように掴んで、全てを放り投げた。


「…抱きし、めて……」


「……!」


ギュッ……


泣いたままの影山が私をキツく抱き締め返して、再度私は影山の胸の中に閉じ込められる。


馬鹿だ……頼ってしまった。


受け入れるはずだったのに、受け入れてもらってしまった……。


どうしようもないぐらい弱くて頼りない自分が許せなくて涙がとめどなく溢れ出す。


でもこれ以上は……たぶん、もう無理だった。


影山に抱きしめられてやっと本当に安心できてる自分がいる。


抱きしめられる腕の中で影山の胸に必死にしがみついて泣いた。


影山の涙も止まらないままで。


二人で抱き合って、しばらく私たちは自分を責めて泣き続けた。
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