第13章 敗北の慰め

「ごめっ…、シホ…ゴメン…ッ」


泣きながらごめんを繰り返す影山。


いいっ…もういならい…！何回も謝らなくていいから。


違うのに……っ。


誰もこんなの望んでなんかなかった。


「ううぅ…ごめっなさ…っ、ごめんなさい影山ぁ…っ」


泣きながら影山の胸の中で首を振る。


もう謝る必要なんてないのに、それをさせてるの私。


私の肩を抱きしめていたもう片方の影山の手は、力が抜けてストンと落ちていく。


影山の涙がこれ以上ないくらい私の胸を締め付けて、それをどうしても止めたかった。


セックスが終わって苦しさがなくなって、止まっていた思考がちゃんと動き出したみたいだ。


そうだった……。


なんのために私たちはセックスをしていたのか、思い出した……。


泣きながらで構わない、綺麗に言いたいことがまとめられなくてもいいから。


「か、げやっ…ま…」


今度は私が影山を抱き締め返した。


膝立ちして胸の辺りに抱え込むようにぎゅーっと抱きしめる。


影山は自分の罪を責めて泣くだけで抱き締め返してはくれない。


「ごめんっ…なさい…、泣かない、で…っ」


「……ん、…だ…」


「受け入れ…っ、られなくて…、ごめっな、さ…」


「なでっ、…ぉまえがっ…謝んだよ…」


より辛そうな声で影山が言葉を絞り出す。


聞き取るのが精一杯の小さな声だった。


「俺は…、俺はぁっ…」


震えた声が影山自身を責め立てる。


影山が言葉を吐く度に涙を流す影山の頭が肩ごとビクッと上下した。


その度に胸元で抱きしめる力を強める。


「俺は…ッ…、お前のっ…」


「もう、そんなのっ…言わ、ないで…？」


私は少しずつ涙をなんとか抑えて腕で拭った。


鼻を何度もすすりながら、もう一度力強く抱きしめて影山を見下ろした。


私は影山を泣かせたくてセックスしたんじゃない……。


できなかったけど…っ、受け入れたかっただけなんだ……。