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【ハイキュー】大王様の奴隷〜命令H〜【R18】

第11章 朝の二人


「そろそろこっち見ろ」


「……」


せっかく岩泉先輩と一緒に温泉に入っていられるんだ。時間を大切にしなくちゃ。


振り返った先の岩泉先輩が目が合うとニッと笑顔を見せてくれて、私も自然と笑顔を返す。


振り返るタイミングをなくす前に普通の空気に戻ってよかった。


「誘ってくれてありがとうございます。……岩泉先輩と二人で温泉に入れて嬉しいのは、本当ですからね」


絞り出すように言う。


気が抜けるって言っても、さっきみたいには緊張が解けてくれない……。


恥ずかしいところ見せちゃったからなあ。


「わかってるよ。……俺も、嘘は言ってねえよ」


岩泉先輩も勢いに任せて言ったところがあるのか、ほんの少し恥ずかしそうに言った。


嘘は言ってない……って、凄く嬉しい。


またドキドキが止まらなくなりそうで、なんとなく話題を変える。


「今日も練習ですか?」


「ああ、午前中だけな」


「お疲れ様です。……無理だけはしないでください」


「心配されるようなことはしねえよ。ありがとな」


笑顔の裏に感じた気持ちをこっそり隠す。


話題を振っておきながら、私は青城のマネージャーではないんだなって実感した。


岩泉先輩の練習日程なんて全然知らなくて、私の関係ないところで岩泉先輩の時間は動いてる。


私がいたら自分が持たないから無理だって言ってくれた先輩。


でも、それでも……一緒にいたかった、寂しい、なんて今更。…言えない。


岩泉先輩が来るなって言って、私も信じて従った結果だから。


「疲れた時はいつでも呼んでください!すぐに会いに行きます…!」


思い切り笑顔を見せる。せめて先輩といる時は明るく、出来るだけ楽しい時間にしたくて。


「お前もそっちですることあんだろ?」


「……そうですけど」


烏野高校の応援を最優先することに、どこか抵抗を感じてる自分がいて自己嫌悪になる。


青城と烏野が戦った時に、素直にどちらかを選んで応援できる気がしない……。


短い間だけど烏野でバレー部のマネージャーをして、少なからず勝って欲しいって気持ちが強くなってるはずなのに。


いつか黒尾さんと話した時のことを思い出す。


……戦うのは選手だからって蚊帳の外から見てるみたいに、私は割り切るどころか一緒に戦う気持ちすらまだできてないのかな。
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